COLUMN AGA以外の薄毛・脱毛症

牽引性脱毛症とは?特徴とその原因について解説|治す方法や予防法についても紹介

公開日:2023/03/13

更新日:2023/03/13

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薄毛や抜け毛にはさまざまな原因がありますが、普段セットしている髪型が牽引性脱毛症を引き起こす原因にもなり得ます。

牽引性脱毛症は髪の毛を結ぶ習慣がある女性に多く見られますが、髪型の多様化により男性でも発症する可能性があるため注意が必要です。

本記事では牽引性脱毛症の原因や特徴、予防法などについて解説します。

円形脱毛症など病的な抜け毛との見分け方も紹介しているため、部分的に脱毛が見られる方は参考にしてみてください。

(※本記事は日本皮膚科学会ガイドライン「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」を参考に作成しています。)

牽引性脱毛症とは|特徴を解説

牽引性脱毛症には主に以下の4つの特徴があります。

  • 牽引性脱毛症は物理的な牽引力により発症する脱毛症
  • 牽引性脱毛症は性別年齢に関係なく発症する
  • 抜け毛に白い毛包やヒゲ根がある
  • 比較的女性の発症率が高いとされる

4つの特徴について解説します。

牽引性脱毛症は物理的な牽引力により発症する脱毛症

牽引性脱毛症は、髪の毛や頭皮への物理的な牽引力により発症する脱毛症です。特定の髪型を長く続けると髪の毛や頭皮にダメージが加わり、抜け毛を引き起こしやすくなることが特徴です。

また、頭皮が引っ張られて毛細血管が圧迫された場合には血液の循環が悪くなるため、髪の毛の成長に必要なエネルギーが不足し、結果的に抜け毛リスクを増大させます。

一過性の脱毛症ではあるのですが、ダメージが毛包にまでおよんだ場合には、髪の毛が生えなくなる可能性もあるため注意が必要です。

牽引性脱毛症は性別年齢に関係なく発症する

性別や年齢に関係なく発症する点も、牽引性脱毛症の特徴の1つです。髪の毛がある程度長い場合には、子どもでも牽引性脱毛症を発症する可能性があります。

AGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性型脱毛症)とは異なり、牽引性脱毛症ではホルモンの影響を受けません。また、牽引性脱毛症は一過性の脱毛症であるため、適切な対処を行えばAGAとは異なり進行することもありません。

抜け毛に白い毛包やヒゲ根がある

牽引性脱毛症の発症にともなう抜け毛には、抜け毛の根元に白い物質が付着していたり、短くて細い髪の毛が見られる場合もあります。正しいヘアサイクルにより抜けた髪の毛は根元がマッチ棒のように膨らんでおり、根元も黒っぽいのが特徴です。

強い牽引力がはたらいて髪の毛が抜けた場合は、毛穴の奥深くにある毛包(毛穴の内部で毛根を包んでいる皮膚組織)ごと引き抜かれるため、抜け毛の根元が白っぽく見えます。

ただし、抜け毛の根元が白色の場合は牽引性脱毛症だけでなく、脂漏性脱毛症の可能性も疑われます。そこで、両者を鑑別するためには毛根の先の形状をチェックしましょう。牽引性脱毛症であれば、髪の毛に強い牽引力が働いた結果、毛根が変形してヒゲ根が見られることが多いです。

比較的女性の発症率が高いとされる

どちらかと言えば女性の発症率が高いのも、牽引性脱毛症の特徴の1つです。牽引性脱毛症は髪の長い方に多く見られます。短髪にしているとそもそも髪の毛や頭皮に牽引力がかかりにくいため、牽引性脱毛症を発症する可能性は低いと言えるでしょう。

女性は男性に比べると髪の毛が長い方も多いため、どちらかと言えば牽引性脱毛症の発症率が高いと考えられます。しかし、男性の方も髪の毛を伸ばしていたり、いつも同じ場所で結ぶなどすると牽引性脱毛症の発症率を増加させる可能性があるため注意が必要です。

牽引性脱毛症の原因となる髪や頭皮への負荷がかかりやすい髪型・ヘアアレンジ例

牽引性脱毛症の原因となる髪や頭皮への負荷がかかりやすい髪型、およびヘアアレンジは以下の3例です。

  • 髪の毛を結ぶことで頭皮へ負担がかかる
  • ヘアアイロンを使うことで熱と牽引力の両方が髪に加わる
  • エクステを付けることで髪や頭皮への負担が増える

3つの例について解説します。

髪の毛を結ぶことで頭皮へ負担がかかる

普段から同じ場所で髪の毛を結んでいると、髪の毛や頭皮に負荷がかかり牽引性脱毛症の発症リスクを増えます。女性の場合はポニーテールや三つ編み、お団子ヘアなどの髪型を続けると、局所への負荷が増大して抜け毛を引き起こしやすくなります。

また、男性も髪の毛を編み込むドレッドヘアなど牽引力の強い髪型を続けていると、抜け毛リスクを増大させるため注意が必要です。そもそも牽引性脱毛症は髪の毛や頭皮への負荷が原因で発症リスクが増大することを覚えておきましょう。

ヘアアイロンを使うことで熱と牽引力の両方が髪に加わる

ヘアアイロンやカールアイロン(コテ)も牽引性脱毛症の発症リスクを増大させる原因の1つです。ヘアアイロンやカールアイロンを使うと、ヘアスタイルをストレートにしたり巻き髪にすることが可能ですが、髪の毛に対して熱と牽引力の両方が加わるため抜け毛リスクを増大させます。

エクステを付けることで髪や頭皮への負担が増大する

エクステも髪の毛や頭皮に大きな負担をかける要因の1つです。エクステを髪の毛の根元に編み込むと手軽に髪形を変えられるだけでなく、髪全体のボリュームアップにもつながります。

しかし、エクステを使うと髪の毛が常に引っ張られた状態となるため、局所への負担が増大して部分的な脱毛を引き起こしやすくなります。エクステを付けたままブラッシングを行った場合には、さらに頭皮に掛かる負担を増大させるため注意が必要です。

牽引性脱毛症を治す方法

牽引性脱毛症を治す方法は以下の3つです。

  • ミノキシジルの外用薬などを使う
  • 髪や頭皮へ負荷をかけずに自然治癒で治す
  • 自毛植毛治療を受ける

3つの方法について解説します。

ミノキシジルの外用薬などを使う

牽引性脱毛症を治す方法の1つが、ミノキシジルの外用薬などを使うことです。ミノキシジルには血管を拡張し、血液の循環をスムーズにするはたらきがあります。

頭皮への血行が促進されると、髪の毛の成長に必要な栄養が十分に送り届けられるため、抜け毛リスクを下げる効果が期待できます。

しかし、牽引性脱毛症の直接的な原因は髪の毛や頭皮にかかる負荷のため、ミノキシジルの外用薬を用いながら、普段の髪型も見直すことが重要です。

髪や頭皮へ負荷をかけずに自然治癒で治す

牽引性脱毛症を発症する原因の多くが髪型のため、髪の毛や頭皮へ負担をかけない髪型にして過ごすと、頭皮の状態や髪の毛が回復する可能性もあります。

ただし、髪の毛や頭皮への負担をかけないよう注意しても、すぐに髪の毛が生えてくるわけではありません。髪の毛はおよそ2年から6年周期で発毛と脱毛を繰り返しているため、新たに髪の毛が生えるまでには時間が必要だと覚えておきましょう。

自毛植毛治療を受ける

牽引性脱毛症の治療法の1つが自毛植毛治療です。自毛植毛と聞くと男性の薄毛を治療する方法と思う方も多いですが、実際には女性でも自毛植毛治療を受けることができます。自毛植毛は主に後頭部の髪の毛を毛穴ごと採取し、薄毛が気になる場所へと移植することが一般的です。

自分の髪の毛を移植する方法のため、拒絶反応を引き起こしにくいのも特徴です。費用は高額になりますが、移植した毛穴が生きている限り、何度でも髪の毛が生えてくるため、長いスパンで見た場合ではリーズナブルと言えるかもしれません。

牽引性脱毛症の発症を予防する方法・対策

牽引性脱毛症の発症を予防する方法や対策は以下の2つです。

  • 髪の毛をおろすなど髪や頭皮へ負荷のかからない髪型へ変える
  • 頭皮マッサージを行うことで血行不良を改善する

2つの方法や対策について解説します。

髪の毛をおろすなど髪や頭皮へ負荷のかからない髪型へ変える

牽引性脱毛症の発症を予防する方法や対策の1つが、髪の毛や頭皮へ負荷のかからない髪型へ変えることです。髪の毛の分け目を変えたり結ばないようにすると、牽引性脱毛症の改善につながる可能性があります。

ヘアアイロンやカールアイロンを使う習慣がある方は、たまには髪の毛や頭皮を休ませる日を作ることも重要です。エクステを利用する場合には、いつも同じ場所に付けないなど工夫しましょう。

頭皮マッサージを行うことで血行不良を改善する

頭皮マッサージで血行不良を改善することも、牽引性脱毛症の予防に効果的です。頭皮への牽引力で血行不良に陥ると、髪の毛の成長に必要な栄養が不足し、抜け毛の可能性が増大します。

髪の毛や頭皮へ負荷のかからない髪型に変えつつ、頭皮マッサージも並行して行うと、牽引性脱毛症の発症リスクを下げる効果が期待できます。

マッサージを行う場合は指の腹で優しく頭皮を刺激することがポイントです。指の先や爪で頭皮を刺激すると、かえって抜け毛リスクを増大させるため注意が必要です。

牽引性脱毛症以外で抜け毛・薄毛を発症する原因

牽引性脱毛症以外で抜け毛・薄毛を発症する主な原因は以下の3つです。

  • AGA(女性の場合はFAGA)の発症
  • 円形脱毛症の発症
  • びまん性脱毛症の発症

3つの原因について解説します。

AGA(女性の場合はFAGA)の発症

牽引性脱毛症以外で抜け毛・薄毛を発症する原因の1つが、AGA(女性の場合はFAGA)の発症です。AGAやFAGAは男性ホルモン(女性ホルモン)が発症に関与しています。。AGA(FAGA)と牽引性脱毛症の主な見分け方は以下の3つです。

AGA(FAGA)牽引性脱毛症
抜け毛の状態毛根にふくらみがない
抜け毛の根元が黒っぽい
抜け毛にヒゲ根がある
抜け毛の根元が白っぽい
抜け毛の範囲頭部全体牽引力がはたらいた局所
発症年齢思春期以降(AGA)
青年期~壮年期以降(FAGA)
年齢に関係なく発症

ただし、一般の方が正確に両者の判別を行なうことは難しいため、抜け毛の量が急に増えた場合には専門医に相談しましょう。

円形脱毛症の発症

円形脱毛症の発症も、牽引性脱毛症以外で抜け毛・薄毛を発症する原因の1つです。円形脱毛症と牽引性脱毛症の違いについては以下の表を参考にしてください。

円形脱毛症牽引性脱毛症
原因不明(自己免疫疾患説が有力)頭皮や髪の毛への牽引力
抜け毛以外の症状爪甲点状陥凹特になし

円形脱毛症の原因は現在も明らかにされていませんが、免疫系の異常により発症するのではないかと考えられています。

円形脱毛症の場合は、脱毛斑(抜け毛が起こった場所)と髪の毛が生えている場所に明確な境界線が見られます。また、円形脱毛症の発症にともない爪がボコボコになる(爪甲点状陥凹)場合もありますが、牽引性脱毛症の場合では基本的に抜け毛しか見られません。

びまん性脱毛症の発症

主に中高年以降の女性に多く見られるびまん性脱毛症も、牽引性脱毛症以外で抜け毛・薄毛を発症する原因の1つです。びまん性脱毛症と牽引性脱毛症の主な違いは以下の2つです。

びまん性脱毛症牽引性脱毛症
原因エストロゲンの分泌量減少頭皮や髪の毛への牽引力
症状髪の毛全体のボリュームが減少一部分のみに抜け毛が見られる

更年期になり女性ホルモンのエストロゲンが減少すると、髪の毛が細く弱々しくなる傾向にありますが、牽引性脱毛症にはエストロゲンは関係ありません。

びまん性脱毛症の場合は髪の毛全体のボリュームダウンを引き起こすのが特徴です。びまん性脱毛症を放置した場合には、頭頂部の地肌が広範囲で露出する可能性もあるため注意が必要です。

牽引性脱毛症に関するよくある質問

牽引性脱毛症に関しては、以下の2つの質問が多く見られます。

  • 男性でも牽引性脱毛症は発生することはある
  • 牽引性脱毛症の発症で髪の毛が生えてこなくなることはある?

2つの質問についてお答えします。

男性でも牽引性脱毛症は発生することはある

長髪の男性が後ろで結ぶなどした場合にも、髪の毛が引っ張られて抜けやすくなるため、牽引性脱毛症を発症する可能性があります。

ただし、男性の場合はAGAを発症している可能性もあるため注意が必要です。AGAの場合には自然治癒が期待できないだけでなく、放置すると症状が徐々に進行する特徴もあるため、抜け毛が増えた場合には自分で判断するのではなく専門医へ受診しましょう。

牽引性脱毛症の発症で髪の毛が生えてこなくなることはある?

牽引性脱毛症の発症で髪の毛が生えてこなくなることもあるため注意しましょう。日本皮膚科学会のホームページにも以下の記述があります。

牽引性脱毛症は初期の段階であれば原因となる髪型をやめることで元に戻りますが、長時間続くことで髪の毛をつくり、支える土台となる毛包まで障害を受けると永久的に髪が生えてこなくなることがあります。

引用元:ヘアスタイルと脱毛症の関係はありますか?

同じ髪型を長く続けて抜け毛が目立ちはじめた場合には、髪型を変えるだけでなく早めに専門医の診察を受けましょう。

牽引性脱毛症の疑いがある場合のご相談はベアAGAクリニックへ

牽引性脱毛症の発症が疑われる場合には、ベアAGAクリニックまでご相談ください。牽引性脱毛症の原因は主に頭皮や髪の毛に加わる負担であるため、発症初期であれば髪型を見直すと改善が期待できます

しかし、長期にわたり頭皮や髪の毛に負担が加わり続けた場合では、永久的に髪の毛が生えてこなくなる可能性もあるため注意が必要です。

また、抜け毛を引き起こす病気は牽引性脱毛症だけでなく、AGAやFAGA、円形脱毛症、びまん性脱毛症などさまざまです。

抜け毛や頭皮の状態だけでは牽引性脱毛症と判別できない場合も多いため、なるべく早めに専門医の診察を受けることがおすすめです。

ベアAGAクリニックでは1万人以上の治療実績を持つ院長が診察を行い、一人ひとり最適な治療プランを提案します。男性だけでなく女性の薄毛治療も行っているため、まずは無料カウンセリングで髪の毛や頭皮の悩みをご相談ください。

ベアAGAクリニック院長 清水 崇裕 Takahiro Shimizu

ベアAGAクリニック院長 清水 崇裕 Takahiro Shimizu

【経歴】東京医科大学卒業後、放射線科に入局し、放射線の専門医を取得。大手AGAクリニックで勤務医として約3年間診療現場で実践を重ね経験を積む。2020年2月、新宿三丁目駅の近くにベアAGAクリニック新宿院を開院。
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