COLUMN FAGA治療の効果・期間

フィナステリドによる初期脱毛が起こる確率や期間を解説|初期脱毛が起こらない場合もあるのか紹介

公開日:2022/09/02

更新日:2023/03/13

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フィナステリドはAGA治療薬に配合される成分の1つです。フィナステリドには毛髪の成長を促すという働きがあります。 AGAは進行型の脱毛症のため、発症が疑われる場合、なるべく早く治療を始めることが重要です。AGAは投薬治療が一般的ですが、中には投薬を開始してしばらく経った頃、抜け毛の量が増える方もいます。

投薬によって一時的に抜け毛の量が増加する現象を初期脱毛と呼びます。フィナステリドによる初期脱毛が起こる確率や期間、人によっての初期脱毛の発症の有無について解説します。

フィナステリドの作用・効果

AGA治療薬に用いられる成分の1つ、フィナステリドには次のような作用および効果が期待されています。

  • 5α-リダクターゼの働きを阻害する
  • 薄毛の進行を防ぐ

フィナステリドは、5α-リダクターゼの働きを阻害し毛髪の成長を促します。 5α-リダクターゼはAGAの発症に大きく関係する酵素の一種です。5α-リダクターゼは、男性ホルモンの一種であるテストステロンと結合し、より活性の高いジヒドロテストステロン(DHT)に変換します。

ジヒドロテストステロンは、男性ホルモン受容体であるアンドロゲンレセプターと結合し、有害なサイトカイン「TGF-β」を生成します。TGF-βは脱毛因子や退行期誘発因子などと呼ばれ、ヘアサイクルの周期を見出し、髪の毛の成長を阻害することが特徴です。 遺伝的に5α-リダクターゼの働きが活発な場合、AGAの発症率が高くなります。

フィナステリドには、5α-リダクターゼの働きを阻害し、ジヒドロテストステロンが生成されるのを防ぐ働きがあるため、AGAの進行を防ぐ効果が期待されています。
参考:AGA治療で効果がないと感じる原因や対処法について解説

日本皮膚科学会はAGA治療でのフィナステリド(プロペシア)の服用を推奨

公益財団法人の日本皮膚科学会はAGA治療におけるフィナステリド(プロペシア)の服用を推奨しています。 AGA治療をおこなう際の指針となる「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」ではAGAの治療方法や治療薬について、推奨度A・B・C1・C2・Dの5段階で評価しており、フィナステリドの内服に関してはもっとも評価の高いAランクに位置付けしています。
参考:プロペシア(フィナステリド)だけで十分な薄毛対策は可能かどうか解説

「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」より、フィナステリドは男性の脱毛症への治療には推奨されていますが、女性に関しては有効性および安全性が確認されていません。そのため、女性の内服に関しては、Dランク(おこなうべきでない)に位置付けられています。

フィナステリド(1mg/日)を用いた414名の「日本人」男性被験者を対象とした観察結果は以下の通りです。

1年間の内服58%以上の改善および40%の現状維持効果
2年間の内服68%以上の改善および31%の現状維持効果
3年間の内服78%以上の改善および20%の現状維持効果

上記の表からも分かるように、フィナステリド(1mg/日)を継続的に服用した男性のおよそ98%が、発毛効果や現状維持効果を実感しています。
参考:フィナステリドの服用をやめたらどうなるのか解説

フィナステリドの副作用が発生する確率

フィナステリド錠も医薬品である以上、副作用を引き起こす確率がゼロではありません。ただ、フィナステリドの服用で副作用が起こる確率はそれほど高くありません。 先のフィナステリド(1mg/日)を用いた414名の「日本人」男性被験者を対象とした観察に続き、 374名の被験者を対象とした2年間の非ランダム化比較試験がおこなわれています。

結果として、フィナステリドを服用した被験者群とプラセボ群(有効成分であるフィナステリドが含まれていない偽薬を服用すること)との間で、副作用の現出率に有意な差は見られませんでした。

出典元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン

フィナステリドの服用で起こる初期脱毛について

フィナステリドには5α-リダクターゼの働きを阻害し、ヘアサイクルの周期を正常化させる働きがあります。その際、弱々しく残っている髪の毛が、新たに生えてきた髪の毛に押し出され、一時的に抜け毛量が増える「初期脱毛」を起こすことがあります。

  • 初期脱毛の目安期間はいつからいつまでか
  • 例外として初期脱毛が起こらない場合もある

上記の2点について解説します。

初期脱毛の目安期間はいつからいつまでか

AGAの初期脱毛が起こる時期に関しては個人差がありますが、平均すると服用開始から数週間が経過してから発症するケースが多いようです。初期脱毛が起こる時期に個人差があるのは、ヘアサイクルの周期が人それぞれのためです。

ヘアサイクルに関しては、以下の表でご確認ください。

成長期活発な毛母細胞の分裂が起こり、髪の毛が成長する時期。ヘアサイクル全体(およそ2年~5年)の85%~90%を占める。
退行期毛乳頭細胞の働きが低下し、毛母細胞から離れる時期。ヘアサイクル全体のおよそ1%を占める。
休止期髪の毛の成長が完全に停止し、毛乳頭細胞が縮小し始める時期。ヘアサイクル全体のおよそ10%~15%を占める。

ヘアサイクルのどの時点でフィナステリドの服用を開始したかによって、初期脱毛が起こる時期に差異が生じます。

初期脱毛が続く期間は、治療開始からおよそ1ヶ月〜3ヶ月とされています。
参考:デュタステリドによる初期脱毛の期間や仕組みを解説
参考:ミノキシジルによる初期脱毛の期間や仕組みを解説

例外として初期脱毛が起こらない場合もある

AGA治療を始めた方の中には、初期脱毛が起こらない方もいます。理由として、次のような点があげられます。

  • 若い方がAGA治療を早い段階で開始した
  • ヘアサイクルの周期が成長期の初期だった
  • AGA治療薬と初期脱毛には相関性がない

もとの髪の毛の量が比較的多い方や若い方が早い段階でAGA治療を始めた場合、初期脱毛による抜け毛に気づかない可能性があります。ヘアサイクルの周期がたまたま成長期の初期だった場合、それほど抜け毛が見られない可能性もあります。

また、AGA治療薬と初期脱毛にはそもそも相関性がありません。AGA治療薬を服用したからと言って、必ず初期脱毛が起こるわけではありません。
参考:AGA治療は一生続けるべきか解説

初期脱毛以外のフィナステリドの副作用

フィナステリドにはそれほど高い副作用のリスクがありません。しかし、一部の方には初期脱毛以外に、次のような副作用が起こる可能性も報告されています。

  • 性機能障害(勃起不全・性欲減退)
  • 肝機能障害
  • うつ症状

それぞれについて詳しく解説します。

性機能障害(勃起不全・性欲減退)

フィナステリドを継続的に服用した場合の副作用としては、性機能障害(勃起不全・性欲減退)が事例としてよく知られています。フィナステリド(1mg/日)を1年間服用した男性を対象におこなわれた二重盲検比較試験によると、6.5%の方に性機能障害の副作用が見られたということです。

しかし、プラセボ群に関しても2.2%の性機能障害が見られており、副作用の原因がフィナステリドのみと断定するのは困難といえるでしょう。

肝機能障害

フィナステリドを継続的に服用した場合の副作用としては、肝機能障害もあげられています。フィナステリドを服用したおよそ0.1%の方に、肝機能障害の副作用が報告されています。ただし、国内では肝機能障害の報告例はありません。

医薬品はすべて、肝臓に負担をかける性質があります。フィナステリドだけが特別に肝機能障害のリスクを高めるわけではありません。

うつ症状

フィナステリドの副作用として発症頻度は不明ですが、うつ症状も事例としてあげられています。以前は添付文書に記載されていませんでしたが、その後の改定の際、新たに記載されるようになりました。

フィナステリドと抑うつ症状との因果関係について詳細は研究段階ですが、うつ症状が気になる場合は担当医に相談することがおすすめです。

フィナステリドによる初期脱毛期間が長い場合の対処法

フィナステリドによる初期脱毛は治療薬による副作用というより、むしろ新たに発毛が始まった結果とも考えられます。通常は治療を始めて1~3ケ月もすれば、自然に治まってくるのが一般的です。

ただ、あまりにも抜け毛の量が多い場合や初期脱毛が長く続く場合は、担当医もしくはベアAGAクリニックまでご相談頂くことがおすすめです。
参考:AGAが急激に進行したと感じる原因を解説

日本皮膚科学会は女性のAGA治療でのフィナステリド(プロペシア)の服用を推奨していない

日本皮膚科学会では女性型脱毛症治療でのフィナステリド(プロペシア)の服用を推奨していません。137名の女性被験者を対象としランダム化比較試験では、フィナステリドを1年間服用した場合、 1㎠あたりの硬毛数は−8.7と、むしろ減少傾向が確認されました。

フィナステリドにはジヒドロテストステロンの生成を妨げる働きがありますが、ジヒドロテストステロンは男児の生殖器などを成長させるために必要なホルモンです。そのため、妊婦または妊娠している可能性のある女性に対して、フィナステリドを用いることは原則として禁止されています。

フィナステリドの初期脱毛に関するよくある質問

フィナステリドを服用した場合によく寄せられる、以下のような質問があります。

  • フィナステリドの副作用による初期脱毛ではどれくらいの量の髪の毛が抜け落ちる?
  • フィナステリドの副作用で2回目の初期脱毛が起こることはある?

それぞれについて詳しく解説します。

フィナステリドの副作用による初期脱毛ではどれくらいの量の髪の毛が抜け落ちる?

フィナステリドの副作用で抜け落ちる初期脱毛の本数は、人によって異なります。人によって抜け毛量に差が生じるのは、ヘアサイクルの周期やもともと生えていた髪の毛の量、治療効果が異なるためです。ただ、一般的には初期脱毛の期間中、1日あたり200~300本の抜け毛が見られます。

場合によっては1日あたり500本以上抜ける例も報告されています。AGAを発症していない方でも、1日あたり50本~100本の抜け毛は当たり前のように見られるため、抜け毛の量が1日あたり100本以内で落ち着いてきたら、初期脱毛の期間を過ぎたと判断できるでしょう。
参考:AGAを自力で治すことは可能かどうか解説
参考:AGA治療でのよくある後悔について解説

フィナステリドの副作用で2回目の初期脱毛が起こることはある?

フィナステリドの副作用による初期脱毛は1度だけとは限りません。2回目の初期脱毛が発症した方の割合は、全体の4分の1程度とのアンケート結果もあります。2回目の初期脱毛が始まった時期は、1回目の初期脱毛の発現から1ヶ月以内がおよそ半数を占めています。

2回目の初期脱毛が起こる理由は、髪の毛をさらに強く太く成長させるためです。1回目の初期脱毛後に生えてきた髪の毛が弱くて細かった場合、さらに強く生え替わるために2回目の初期脱毛が起こると考えられています。

出典元:「初期脱毛には2回目がある?薄毛治療中に感じた抜け毛の変化を調査

フィナステリドの初期脱毛についてのご相談はベアAGAクリニックへ

AGAは進行型の脱毛症のため、発症が疑われる場合には早めの治療が必要です。AGA治療に用いられる治療薬の1つがフィナステリド(プロペシア)です。フィナステリドを服用した方の中には、一時的に抜け毛の量が増える、初期脱毛が見られるケースもあります。

初期脱毛は治療薬の効果があらわれ、新たに髪の毛が生えてきている証拠です。しかし、抜け毛の量が増えて心配な方や、あまりにも長く初期脱毛が続く場合は、不安を解消するためにもベアAGAクリニックまでご相談ください。

参考:AGAを自力で治すことは可能かどうか解説
参考:ストレスが原因でAGAは発症するかどうか解説
参考:ミノキシジルが効かない人の原因や対処法を解説
参考:AGA治療のデメリットについて解説
参考:AGA治療で血液検査を行う理由と検査でわかることを解説
参考:AGA治療は保険適用されるのかどうか解説

参考:ミノキシジルの副作用と効果について解説
参考:AGA治療におすすめのクリニックの選び方
参考:AGA治療の費用相場はいくらか解説
参考:デュタステリドが効かないと感じる原因
参考:フィンペシアによる副作用について解説

ベアAGAクリニック院長 清水 崇裕 Takahiro Shimizu

ベアAGAクリニック院長 清水 崇裕 Takahiro Shimizu

【経歴】東京医科大学卒業後、放射線科に入局し、放射線の専門医を取得。大手AGAクリニックで勤務医として約3年間診療現場で実践を重ね経験を積む。2020年2月、新宿三丁目駅の近くにベアAGAクリニック新宿院を開院。
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