新陳代謝や免疫向上の効果があり、肌や髪、爪の健康を保つのに欠かせない「亜鉛」。
女性の身体に嬉しい働きをする栄養素なので、健康や美容を意識する方は積極的に取り入れるべきでしょう。
「女性が亜鉛を摂取するメリットは?」
「1日の摂取目安量や多く含む食品が知りたい」
このような疑問にお答えするため、本記事では亜鉛の効果とおすすめの摂取方法をまとめました。

執筆者:清水崇裕(ベアAGAクリニック院長、医師、医学博士)
薄毛治療実績1万人以上。薄毛治療以外の医学知識も豊富で、安全に配慮した治療を心がけています。美肌、シミ、シワ等も含めトータルなエイジングケアをサポート致します。最近髪が細くなってきた、頭頂部が気になる、髪が⽔に濡れてボリュームが減るのが恐い、など薄⽑に対するどんなお悩みでもお気軽にご相談ください。患者様の期待に応え、当院で治療を受けてよかったと⾔っていただけるようなクリニックを⽬指して参ります。
資格:医師・医学博士・放射線科専⾨医・⽇本医師会認定産業医・⽇本抗加齢医学会会員・⽇本医学放射線学会会員
薄毛にお悩みの方は必ずお力になります。ベアAGAクリニックにご相談ください。
ベアAGAクリニック院長 清水崇裕
目次
亜鉛とは|身体の代謝活動をサポートする必須ミネラルの一種
ヒトの身体の健康を維持するには、炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルの5大栄養素が欠かせません。
亜鉛は5大栄養素のミネラル(必須ミネラル)の一つであり、細胞分裂や新陳代謝をサポートしています。不足すると皮膚・爪の異常や免疫力の低下、抜け毛の増加といった症状が出やすくなります。
体内では生成できないため、普段の食事やサプリメントなどから積極的に取り入れるべき栄養素です。
亜鉛の働き
亜鉛の働きには次のものがあります。
- タンパク質の合成をサポート
- 味覚の正常化
- 抗酸化作用
- 免疫力の向上
- 子どもの発育・成長
- 生殖機能の改善
具体的な作用を詳しく解説します。
①タンパク質の合成をサポート
亜鉛はタンパク質の生成をサポートする栄養素です。
肌や髪、爪の主成分はタンパク質なので、亜鉛を補うことで美肌や美髪効果が期待できます。亜鉛の摂取量が不十分だと、肌荒れや抜け毛、爪のダメージなどが生じやすくなります。
②味覚の正常化
細胞分裂をサポートする亜鉛には、味覚を正常に保つ働きがあります。
私たちが味覚を感じられるのは、舌にある味蕾(みらい)という細胞が正常に機能しているからです。味蕾は寿命が非常に短く、亜鉛が不足すると味蕾の細胞分裂がスムーズに行われません。
結果として味覚が変化したり、味を感じられなくなったりします。食事を美味しいと感じられるのは、亜鉛が味覚を正常に維持している証拠なのです。
②抗酸化作用
亜鉛には体内のビタミンAを活性させる働きがあります。
抗酸化作用に優れたビタミンAの代謝を促すことは、活性酸素や過酸化脂質の抑制につながります。
③免疫力の向上
ビタミンAには粘膜を保護する働きもあります。
ウイルスや細菌は粘膜から体内に侵入するので、亜鉛がビタミンAを活性化すれば風邪に負けない強い身体を作ることができます。
④子どもの発育・成長
身体が成長過程にある子どもの体内では、細胞分裂が活発に行われています。
亜鉛は細胞分裂や新陳代謝をサポートする働きがあるので、子どもの発育に必要不可欠な栄養素と言えます。
身体が急成長する10〜12歳頃には亜鉛が大量に消費されるため、普段の食事で十分な亜鉛を摂取させることが大切です。
⑤生殖機能の改善
亜鉛は精子の形成にも役立ち、受精能獲得にも大きな役割を担います。
精液には多くの亜鉛が含まれるため、亜鉛不足は精子濃度の低下や運動率の悪化につながります。
精子の数が減ると男性不妊の原因となるため、妊活中の方はパートナーにも亜鉛の摂取を推奨しましょう。
亜鉛の摂取目安|女性は8mg/日
厚生労働省が定める日本人の食事摂取基準(2020年版)では、亜鉛の摂取量について以下の内容を発表しています。
- 18~74歳の男性:11mg/日
- 75歳以上の男性:10mg/日
- 18歳以上の女性:8mg/日(妊婦は+2mg、授乳婦は+4mg)
現代の日本人の食生活では、亜鉛の摂取量が上記の推奨量を下回っていると言われています。
意識的に摂取すれば、1日8mgの亜鉛を摂取するのはそれほど難しいことでありません。しかし実際には、多忙な生活や過度なダイエットなどの影響から亜鉛を十分に補えていない方が多いようです。
偏った食事やダイエット中の女性は亜鉛不足に注意!過度なダイエットは、亜鉛が欠乏する原因の一つです。運動習慣のない方ほど、食事量を減らすダイエットを試みる傾向にあります。しかし、食事量を減らせば当然ながら摂取できる栄養も少なくなり、結果として肌荒れや抜け毛、免疫力の低下につながります。美容に対する意識が高い方ほど、ついハードな食事制限を自分に課してしまうものです。しかし、無理をすると健康そのものを損ねる恐れがあります。 ダイエット中の方は、運動やストレッチを取り入れつつ栄養バランスのいい食事を心がけましょう。 |
女性に嬉しい亜鉛の効果
亜鉛は女性の健康と美容に以下のメリットをもたらします。
- 肌や髪の調子を整える
- 痩せやすい身体を作る
- 女性ホルモンの働きを高める
詳しい内容も見ていきましょう。
①肌や髪の調子を整える
亜鉛はタンパク質の生成に関わる栄養素なので、タンパク質を主成分とする肌や髪の健康維持に効果的です。
タンパク質の代謝が活性すれば、肌や髪の細胞分裂がスムーズに行われます。食事から美肌や美髪を目指したい方は、日頃から亜鉛をしっかり摂取しましょう。
②痩せやすい身体を作る
亜鉛は代謝に関わる栄養素なので、栄養をエネルギーに変えて脂肪を燃焼しやすい状態にしてくれます。
亜鉛が欠乏すると、余分な栄養が脂肪として蓄積されてしまいます。結果として太りやすい体質になるので、美しく痩せたい方は亜鉛不足には注意しなければなりません。
痩せたいからと食事量を大幅に減らすのではなく、亜鉛を補ってダイエット効率を高めるのがおすすめです。
③女性ホルモンの働きを高める
亜鉛には女性ホルモンの働きを高める効果もあります。
女性ホルモンの働きが高まると、生理痛・生理不順の改善や子宮内環境を整えることにつながります。またホルモンバランスの安定は、心身の健康保持や妊娠しやすい身体づくりにも有効です。
美容や健康、妊活など女性に嬉しい働きをする亜鉛は、女性の快適な生活をサポートする栄養素だと言えるでしょう。
亜鉛不足と更年期障害の関係閉経前後の10年間は卵巣機能が低下し、ホルモンバランスが乱れます。この間は頭痛やめまい、発汗といった身体の不調が起こりやすいです。個人差はありますが、不安やイライラ、うつなどの精神的症状が認められる方もいます。更年期障害は女性ホルモンが急激に減少することで起こるものです。年齢による影響が大きいため避けて通るのは困難ですが、女性ホルモンを補えば症状を軽減できるという理屈が通ります。 亜鉛には女性ホルモンの働きを高める効果があるので、摂取によって更年期障害の症状を緩和できる可能性があるでしょう。 逆を言えば、亜鉛不足で症状が重くなることもあり得ます。更年期の心身の不調でお悩みの方には、亜鉛が欠乏していないか食生活を見直してみることをおすすめします。 |
亜鉛を多く含む食品
以下の表は、亜鉛を多く含む食品と含有量をまとめたものです。
亜鉛を多く含む食品 | 含有量 |
生牡蠣(1個) | 14mg |
豚レバー(100g) | 6.9mg |
いりごま(大さじ1) | 5.9mg |
牛もも肉(200g) | 4.8mg |
きなこ(大さじ1) | 4.1mg |
アーモンド(10粒) | 3.6mg |
焼きのり(1枚) | 3.6mg |
切り干し大根(1食分) | 2.1mg |
亜鉛不足を解消したい方は、上記を参考に栄養バランスのいい食事を心がけましょう。
亜鉛不足のサインかも?今すぐできるセルフチェック
以下の症状が認められる方は、亜鉛が欠乏している可能性があります。
- 味覚障害
- 貧血
- 皮膚炎
- 抜け毛
- 免疫力の低下
- 爪のダメージ
味覚障害や貧血、免疫力の低下は、亜鉛不足の方に多い症状です。
亜鉛はタンパク質の生成に関わる栄養素なので、不足すると肌や髪、爪の不調が認められる場合があります。
亜鉛サプリの効果的な飲み方
食事量に不安がある、または亜鉛不足が気になる方は、サプリメントで効率よく亜鉛を取り入れましょう。
亜鉛の吸収率を高めるには、ビタミンCやクエン酸と一緒に摂取するのがおすすめです。飲むタイミングはいつでもOKで、毎日同じ決まった時間に飲むくせをつけると飲み忘れを防げます。
なお、タンニンには亜鉛の吸収を妨げる作用があるため、コーヒーや紅茶、緑茶などで亜鉛を飲むのは控えてください。
亜鉛サプリに副作用はある?1日2g以上の摂取は注意
サプリメントは医薬品ではないので、推奨量を守れば副作用が生じることはほぼありません。
一方で、亜鉛の過剰摂取では以下の徴候が見られる場合があります。
- 吐き気・嘔吐
- 食欲不振
- 腹痛
- 下痢など
また亜鉛を長期的に高濃度で摂取すると、銅欠乏やHDLコレステロールの減少といった問題につながる恐れがあります。
女性の目安量は1日8mg(妊婦は+2mg、授乳婦は+4mg)です。健康被害を防ぐためにも、サプリメントを不適切に使用したり、推奨量を大幅に上回るような飲み方はしないよう注意しましょう。
関連記事:パントガールの効果は?成分・副作用・飲み方などと合わせて解説
亜鉛サプリにまつわるよくある質問
亜鉛を含むサプリメントについて、患者様から多く寄せられるご質問と回答をまとめました。
Q. 亜鉛に痩せる効果はありますか?
亜鉛はエネルギー代謝に関わる栄養素であり、燃焼をサポートすることや痩せやすい身体を作ります。
ダイエット中は栄養が偏りやすいので、食事やサプリメントで積極的に亜鉛を摂取しましょう。(※亜鉛をたくさん摂取したからといって体重が大幅に減少するわけではありません)
Q. 亜鉛サプリでバストアップできるというのは本当ですか?
亜鉛のバストアップ効果を証明するデータはありません。
亜鉛には女性ホルモンの働きを高める効果があり、亜鉛が不足すると女性ホルモンの分泌量が低下すると言われています。
亜鉛の摂取がバストアップに直結するとは言えませんが、女性らしい身体づくりには欠かせない栄養素であることは事実です。
Q. 亜鉛で身長が伸びるというのは本当ですか?
亜鉛には新陳代謝を促す効果があるため、成長期には亜鉛をしっかり摂取する必要があります。
近年、子どもの亜鉛不足は身長の伸びに影響する可能性が指摘されています。とある研究では、低身長の子どもに亜鉛を投与すると身長の伸びが改善したという報告もありました。
子どもの身体づくりには、亜鉛をはじめとする栄養素をバランスよく摂取することが大切です。
参考文献:
Nishi,Y.,et al.: J.Amer.Coll.Nutr.,8:93,1989.
Nakamura,T.,et al.:J.Pediat.,123:65,1993.
Q. 亜鉛は白髪に効果があると聞きましたが本当ですか?
亜鉛を含め、栄養バランスのいい食事で白髪が改善する可能性があります。
亜鉛には髪の主成分であるタンパク質の生成をサポートする働きがあります。髪の成長に必要な栄養素が十分であれば、白髪予防の効果も期待できるでしょう。
食事面で育毛効果を高めるには、亜鉛やタンパク質だけでなくビタミン類の摂取も有効です。
Q. 亜鉛サプリを飲むと臭くなると聞きました。
亜鉛が体臭や口臭の原因になるとは考えにくいです。
亜鉛にニオイを感じるのは、もしかするとサプリメント自体に香料が含まれているのかもしれません。
サプリメントは商品によって独特のニオイを感じるものがあるため、気になる方はニオイの少ないものを選ぶといいでしょう。
Q. 亜鉛は毎日飲んでも大丈夫でしょうか?
大丈夫です。
サプリメントは継続することに意味があるので、時間を決めて毎日飲むことをおすすめします。
Q. 亜鉛サプリの効果はいつから実感できますか?
個人差はありますが、早い方だと1〜2ヶ月で肌や髪の変化を実感されるようです。
サプリメントは医薬品ではないので、飲んですぐに効果を実感できるものではありません。じっくり根気よく使用を続けてください。
亜鉛は女性の美と健康を支える栄養素です
肌や髪を健やかに保ち、痩せやすい身体づくりに役立つ亜鉛。
女性の美や健康を助ける栄養素が不足しないよう、日頃から意識して摂取することが大切です。食事だけでは不安な方は、サプリメントを上手に活用しましょう。
当院では亜鉛やタンパク質、ビタミン配合のサプリメントの取り扱いがあります。亜鉛のサプリメントは抜け毛や薄毛予防に役立ちますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。