COLUMN AGA基礎知識

髪の毛について|ヘアサイクルや生活習慣との関係

公開日:2022/09/18

更新日:2022/10/17

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人の頭に生える髪の毛。普段、あまり気にしたことはないかもしれませんが、髪の毛は人体においてもっとも重要な器官のひとつである頭を保護する役割を担っています。

たとえば、夏の照りつける日ざしを和らげてくれるのは髪の毛です。髪の毛が頭の中の温度が上昇するのを防いでくれています。しかし、その重要な役割を果たしてくれる髪の毛の悩みを抱えている人はたくさんいます。男性型脱毛症(AGA)はその一例です。

この記事では、髪の毛についての基本的な知識をご紹介するとともに、髪の毛のトラブル、そして髪の毛を健康に保つ方法についてもかんたんにご説明していきます。

髪の毛のつくり・構造

人間の髪の毛は、ひとつの器官として頭部に存在しています。同じ器官は身体全体に分布していて、頭には約10万本が存在。頭部(脳)を守ってくれるとともに、触覚として人の知覚をサポートしてくれています。

髪の毛は、ただ見ただけではわかりませんが、三重構造になっています。耳にしたことがあるかもしれませんが、これは外側から「毛小皮(キューティクル)」「毛皮質」「毛髄質」という順番の三重構造です。

キューティクルは、髪の毛の表面を覆っていて、内部の水分やタンパク質が失われないように保護するとともに、髪の毛につやつやとした光沢を与えてくれます。毛皮質を形成しているのは、爪などにも含まれているケラチンなどの物質です。

また、毛皮質と毛髄質にはメラニンが存在。このメラニンの違いが髪の色の違いを作り出しています。老いると白髪が増えるのは、このメラニンが失われていくことが主な原因です。

この髪の毛の根元に当たる皮膚には「毛包」と呼ばれる組織があり、髪をしっかりとホールドしてくれています。これら、髪の毛を構成する部位が健康な状態に保たれていれば、1本1本の髪の毛も、とても頑丈です。健康な髪の毛1本で、100gの重さを支えられるといわれています。

髪質・硬毛(こうもう)と軟毛(なんもう)の違い

髪質は人それぞれ大きな違いがあります。太い方もいれば細い方もいて、また硬い方もいればやわらかい方もいます。ただ、意外に自分の髪の毛がどちらなのか知らない方は多いようです。ここからは硬毛と軟毛について解説します。

硬毛(こうもう)

硬毛は、字面どおり、硬い毛のことを指します。剛毛と呼ばれることもあります。硬毛の特徴は、髪の毛が硬く丈夫、そして量が多いことです。硬毛はぎっしりとキューティクルが表面に並んでいるので、いわゆるコシのある髪質になりますが、コシがあるだけにヘアセットが難しい場合もあります。

軟毛(なんもう)

軟毛は、これまた字面どおり、やわらかい髪の毛のことを指します。軟毛は、硬毛とは逆にキューティクルの密度が薄いため、しんなりとコシがやわらかくなりデリケートです。

軟毛は髪の毛が全体的に細く、枝毛などのトラブルにもつながりやすいという特徴があります。また、軟毛はメラニン色素の含有量も少ないため、髪色がブラウンがかった黒になることが多いようです。

髪質は変わることがある

硬毛と軟毛という2種類の髪質。薄毛などのトラブルの原因になりやすいのは軟毛のほうですが、実は髪質は生まれてからずっと一定に保たれるわけではなく、なんらかの原因で変わることがあります。

特に男性の場合は、男性ホルモンのバランスが変わることにより、髪質も変わってしまうことがあり、このおかげでAGAを発症してしまう方も少なくありません。

自分の髪の毛は硬毛?それとも軟毛?

硬毛と軟毛の特徴をご説明しましたが、実は意外に判断が難しい場合もありますので、その判断の方法もご紹介しておきましょう。

・引っ張る

まずは髪の毛を引っ張って確かめる方法です。なかなか切れずに伸びるようなら、その髪の毛は軟毛。反対に、引っ張っても伸びずに切れる髪の毛は硬毛です。

・水平にしてみる

髪の毛をつまみ、水平にしてから片方の指を離したときの状態で確かめる方法です。離した側がすぐに垂れ下がってしまう髪の毛は軟毛、そのまま水平を保っているなら硬毛ということになります。

・指に巻いてみる

髪の毛を指に巻いてみて、カールの度合いで硬毛か軟毛か判断する方法です。指に巻いた髪の毛を取ったときにそのままカールが残るなら軟毛、元の状態に戻るなら硬毛ということになります。

髪の毛の寿命・ヘアサイクル

髪の毛には寿命があります。髪の毛の寿命は4~6年ほど。ただ、寿命といっても、4~6年が経過したらそのままあとは生えてこない、というわけではなく、しっかりと同じ毛穴からまた生えてきます。

この髪の毛の生え替わりのサイクルが「ヘアサイクル」です。ヘアサイクルには、大きく分けて「成長期」「退行期」そして「休止期」という3つの段階があります。

成長期

成長期は、ヘアサイクルの大部分を占めます。時間にして約2~5年。毛母細胞と呼ばれる髪の毛を生み出す細胞が盛んに活動し、この働きにより髪の毛は1日当たり0.3mmほど伸びます。

もちろん、この毛母細胞は髪の毛を成長させるために活動しているので、この成長期には髪の毛の太さも太くなります。

退行期

退行期は、ヘアサイクルにおいて、たったの2週間、長くても3週間程度ともっとも短い過程になります。

退行期に入ると、これまで盛んに活動していた毛母細胞が活動を弱め、そしていつしか停止します。この活動を弱めてから停止するまでが退行期です。毛母細胞が活動を停止すると毛根が角質化していきます。

休止期

休止期は、時間にして約3~4ヶ月ほど。毛母細胞が活動を止めてから髪の毛はゆっくりと抜けていきますが、その時点ではすでに内部で新たな髪の毛を生み出すための準備が始まっています。

この期間は、髪の毛が抜けることは当たり前なので、心配になる方もいらっしゃるかもしれませんが、まったく問題はありません。

ただ、このヘアサイクルは、生活習慣などを原因として乱れてしまうことがあり、この乱れが続いてしまうと異常な抜け毛につながることがあるので注意が必要です。

抜け毛は季節にも関りがある

季節の変わり目には、抜け毛などの髪の不調を感じる方が多くなります。実は抜け毛は季節を深い関係があります。このような季節的な抜け毛は、ヘアサイクルが多少乱れてしまっていることが原因であり、ほとんどの場合、病気が関係しているわけではありません。

夏場の抜け毛

夏は直射日光などの影響で髪の毛がダメージを受けやすいため、抜け毛が増えやすい季節です。紫外線は強力で、髪の毛だけではなく、毛根まで影響を受けてしまうことがありますので、帽子を被るなどの紫外線対策はこの時期、必須になります。

日本の夏は湿度が高く、頭からも汗をかきやすくなります。特に梅雨時は湿度がとても高く、汗とともに皮脂が多く分泌されるため、頭皮に汚れが溜まりやすいので注意が必要です。

また、頭皮にはさまざまな菌が常在していることをご存じでしょうか?これらはバランスをとりながら頭皮に存在することで、通常は「いい影響」を髪の毛に与えているのですが、このバランスが一度崩れてしまうと、頭皮や毛根などを痛めつけてしまうことがあります。

さらに頭皮にはダニの仲間も存在しています。こちらも通常は「いい影響」を髪の毛に与えてくれているのですが、頭皮に分泌物が溜まるなどして不潔な状態になると増殖してしまい、頭皮や毛根に悪い影響を与えてしまうことがあります。適度にシャンプーをして、頭皮をクリーンに保つようにしましょう。

秋の抜け毛

秋に抜け毛を感じる方も多くいらっしゃいます。秋の抜け毛の原因は主に2つ。自律神経の乱れによるものと、ダメージによるもので、どちらも多くの場合、夏に関係があります。

自律神経の乱れによる秋の抜け毛は、秋特有の気温の大幅な変化と、夏の疲れが影響しています。秋に入っても暑さは残りますが、だんだんと寒暖の差は大きくなり、身体がその気温の変化についていくことが大変になると、人は体調を崩しがちになります。

夏の暑さにより溜まった疲れもあり、自律神経の働きが乱れることでヘアサイクルに狂いが生じやすくなるのです。髪の毛の成長を促進するためには毛乳頭まで栄養を届ける必要がありますが、自律神経にある交感神経と副交感神経のバランスが崩れると、うまく栄養を届けられません。

その結果、抜け毛が増えてしまうというわけです。

ダメージによる秋の抜け毛は、主に夏の太陽によるものです。夏場の日ざしは強力で、なんの対策もケアもしなければ、髪の毛はすぐにダメージを受けてしまいます。

ただ、その場で抜け毛が始まるわけではありません。夏場のダメージの影響は、涼しくなってから現れることが多いのです。この時期と重なるようにヘアサイクルが退行~休止期という流れになると、ヘアサイクルが正常に進まない可能性があります。

そのため夏場だけではなく、涼しくなってからも適度にシャンプーをして、清潔な頭皮をキープするようにしましょう。

さまざまな脱毛症

脱毛症にはさまざまな種類があります。ここではその中から主なものをご紹介しましょう。

・AGA(男性型脱毛症)

AGAは、成人男性に多く見られる脱毛症です。AGAは、Androgenetic Alopeciaを略したもの。男性ホルモンの異常により発症し、ゆっくりと薄毛の症状が進行していきます。

男性ホルモンのほか、不規則な生活習慣や遺伝などの要素もAGAを引き起こす可能性があると考えられていて、もしも発症した場合は、速やかに治療を受ける必要があります。

AGAを発症すると、ヘアサイクルが正常に回転せず、成長期が短縮。これは、ジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる男性ホルモンが、前頭部や頭頂部の毛母細胞を中心に悪影響を与えることが原因です。

髪の毛の成長がこのDHTに邪魔されてしまうため、薄毛が進行してしまいます。この治療に使われるのがプロペシアに代表される「フィナステリド」や、ザガーロに代表される「デュタステリド」です。

・円形脱毛症

円形脱毛症は、自己免疫機能の異常が関係していると考えられている脱毛症で、突然、円のような形でまとまって髪が抜け落ちます。複数箇所の髪の毛が抜け落ちるなど、症状の出方もさまざまです。

・機械性脱毛症

機械性脱毛症は、たとえば髪の毛を長期間、ポニーテールの状態などで引っ張るなどして力を加え続けることで、額の生え際の髪がだんだんと後退していくように抜けていく脱毛症です。

・粃糠性脱毛症

粃糠性(ひこうせい)脱毛症は、湿っぽいフケが多く発生し、皮膚が炎症を起こすことにより、ヘアサイクルの休止期に髪の毛が抜ける脱毛症です。脂漏性脱毛症とも呼ばれます。

・薬の投与を原因とする脱毛症

薬の投与による影響で脱毛症状が引き起こされることもあります。一般的にも認知されているのは抗がん剤の投与による脱毛症状でしょう。

ただ、実はそのほかにも脱毛症を誘発する可能性のある薬剤は数多くあり、抗リウマチ剤や痛風治療薬、高脂血症治療薬や免疫抑制剤、てんかん治療薬、経口血糖降下剤などの一部がこれに該当します。

・抜毛症

抜毛症(ばつもうしょう)は、トリコチロマニアとも呼ばれる病気のことで、これまでに挙げた脱毛症とは異なり、精神障害に含まれます。

人は身なりを整えるために床屋に行ったり、美容室に通ったりするわけですが、抜毛症の場合は、無意識のうちに髪の毛を自ら抜いてしまいます。ストレスが原因ともいわれますが、詳しいことは現在のところほとんどわかっていません。

正しいシャンプーの方法

脱毛症を防ぐには、頭皮を清潔に保つことが大切です。毎日、正しくシャンプーをして頭皮と髪の毛の健康を保ちましょう。

・まずはシャワーで洗い流す

シャンプーを使用する前に、髪をお湯シャワーで洗い流します。実はこれだけでもかなりの量の汚れを洗い流すことができるので、シャンプーも節約可能です。

・シャンプーを泡立てる

次にシャンプーを手に取りますが、いきなり頭髪につけるのではなく、まずは手のひらでよく泡立てることが重要です。

・髪の毛ではなく地肌をマッサージする感じで洗う

続いて、泡立てたシャンプーを頭皮によく馴染ませ、マッサージするような感じで洗っていきます。床屋や美容院で頭を洗ってもらうときを思い起こし、指の腹を使って洗うのがコツです。頭皮の汚れが多いと、泡立ちがすぐに悪くなってしまうことがあるので、そのような際は、洗い流してからもう一度、シャンプーを泡立ててから洗うと効果的です。髪の毛は、泡を使って軽く洗うのがコツ。力を入れる必要はありません。髪の毛を洗い終わったら、シャンプーをよく洗い流します。

・コンディショナーを使用

コンディショナーは地肌ではなく髪に使います。傷みのある箇所を中心に、揉み込むように塗り、その後、洗い流します。生え際を中心にコンディショナーが残ってしまうことがあるので、完全に洗い流しましょう。

・よく乾かす

タオルでソフトに水分を取り除いたあと、ドライヤーを使って乾かします。まずは地肌の水分を取り除いてから、髪の毛を乾かしましょう。

バランスのとれた食事で髪の健康を保つ

生活が乱れると肌が荒れることがあります。実は髪の毛も同じで、生活習慣や食事のバランスが悪いと、その影響を受けて元気が失われることがあります。ミネラルが多く含まれる食事は、髪の毛を構成する主な成分であるケラチンの生成を促します。

海藻は髪の毛にいいとよくいわれる理由は、ミネラルがたっぷり含まれているからです。また、ケラチンはタンパク質なので、大豆や肉、魚もバランスよくとるようにしましょう。

タバコは髪の毛に悪影響

日本社会は喫煙をする方には住みにくい世の中になりました。健康志向の高まりもあり、その中でタバコはずっと悪者にされてきました。もうそれも行き着くところまでいった感じで、街中では自由に喫煙することはほぼできません。

タバコは健康を害することがわかっています。そしてタバコは髪の毛にも悪影響を及ぼすことがわかっています。ニコチンが血管を縮めてしまうことで、髪の毛まで栄養が行き渡らなくなってしまうのです。

髪の毛のためにはタバコは止めたほうがいいことは明白ですが、ストレスの多い世の中ですから、それも難しいという方は多いと思います。止められないのであればできるだけ減らすよう努力しましょう。

ストレスのない生活を心がける

多くの現代人がストレスと共存しています。ストレスのない生活は、現実的には不可能ですが、それでもストレスを軽減することは大切です。抜け毛などの頭髪トラブルの原因は、多くの場合、このストレスだといわれています。

ストレスは、自律神経の働きを狂わせたり、血流を悪化させたりする原因になります。どちらもヘアサイクルを阻害する要素となるので、ストレスをうまく取り除きながら生活することが大切です。

軽いエクササイズをする、マッサージを受けるなど、意識してリラックスできる時間を作ることが、健康な髪の毛の育成につながります。

ベアAGAクリニック院長 清水 崇裕 Takahiro Shimizu

ベアAGAクリニック院長 清水 崇裕 Takahiro Shimizu

【経歴】東京医科大学卒業後、放射線科に入局し、放射線の専門医を取得。大手AGAクリニックで勤務医として約3年間診療現場で実践を重ね経験を積む。2020年2月、新宿三丁目駅の近くにベアAGAクリニック新宿院を開院。
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