生え際に比べ、意外と気づきにくいのが頭頂部の薄毛ではないでしょうか。
つむじが薄くなるため、友達からつむじハゲなどと呼ばれ、からかわれた経験をお持ちの方もいるかもしれません。いずれにせよ、男女問わず悩んでいる人が多い部分といえるでしょう。
頭頂部が薄毛になる原因や特徴、治療法について解説します。
目次
AGAは3つのタイプに分けられる
AGAには、薄毛の始まった場所や進行の仕方により、次の3つのタイプに大別されます。
頭頂型(O型):頭頂部やつむじから薄くなるタイプ
おでこからではなく頭頂部が薄くなり、上から見たときにO字に見える場合、俗にO字ハゲと呼ばれるO型のAGAの可能性が高くなります。
円形に広がるように薄くなっていき、進行すると側頭部と後頭部のみ毛が残る形になります。
頭頂部は鏡に映りにくくなかなか自覚しづらいため、かなり進行してから人に指摘されたりして気づくことが多いタイプです。
なお、女性の薄毛で多いのも、つむじから広がっていくタイプです。
M字型(M型):額の生え際、そりこみ部分から薄くなるタイプ
額のこめかみあたり、いわゆるそりこみ部分から薄毛が進行し、正面から見てM字の形をしていたら、俗にM字ハゲと呼ばれるM型のAGAの可能性が高いといえます。わかりにくいときは、鏡を使って、額から頭頂部にかけてのラインを確認するとよいでしょう。左右のこめかみの上あたりの生え際が後退している一方、おでこの真ん中には髪の毛が残っているようであれば、M字型のタイプが進行しているといっていいでしょう。
前頭型(U型):額が後退し、前頭部全体が薄くなるタイプ
おでこ全体が後退した結果、U字に見えると俗にU字ハゲと呼ばれるU型のAGAの可能性が高くなります。3つのタイプの中でも特に広範囲に薄毛が進行している状態であり、前頭型に加えて頭頂型を併発することも多くあります。薄毛の中でも深刻度が高くなる傾向にあるといえるでしょう。
なお、当クリニックのホームページでも、それぞれの薄毛のタイプについてイラストで解説しています。
頭頂部からハゲていく場合は気づきにくい
自分で直接見られない頭頂部は薄毛に気づきにくい部分です。毎日の身だしなみ時に鏡でチェックし、つむじが広がっていたら要注意といえるでしょう。
「こんなはずじゃ……」後ろ姿の写真でショック
M字型や前頭型(U型)は正面から目立つ生え際ラインが後退したり、毛が細くなったりといった状態から、薄毛に気づきやすいといえます。しかし自分で確認しにくい頭頂部の薄毛が顕著となる頭頂型(O型)は、薄毛が進んでいることになかなか気づきにくいものです。
例えば、友達や会社の同僚などから後ろ姿を写真に撮られた際に、実際の自分の頭頂部を見て想像以上にハゲておりショックを受けた、人から指摘されて初めて気がついた、といったケースも多いようです。
そうしたこともあり、頭頂型(O型)の場合、かなり進んでしまってからクリニックに相談に来られる方が多くいらっしゃいます。
ふだんの身だしなみでチェックの習慣を
早期の段階で薄毛に気づくには、毎日の身支度時に頭頂部も鏡でチェックする習慣をつけておくとよいでしょう。
また、「いつもできていたあの髪型が、どうも最近つくりにくくなってきた」こう感じたら頭頂部ハゲが進行しつつあるかもしれません。頭頂部が薄くなると、全体のボリューム感がなくなってきて、ブローしても整髪料で立たせようとしてもうまくいかなくなるからです。一方、全体のボリューム感よりも、前髪がつくりにくいといった部分的なヘアスタイルが決まらない悩みは、M字型や前頭型(U型)の始まりが疑われます。
自分は薄毛? 頭頂部ハゲの見分け方
頭頂部が薄くなってきたかも、と気になる方は、鏡を使うなどしてつむじを確認してみましょう。
つむじはおもに頭頂部に見られる毛髪が渦を巻くように放散している部分で、本来は毛髪がきれいな渦の形で密に生えています。
しかし、薄毛が進行すると毛量が少なくなるのでつむじの面積が広がり、渦の形もはっきりしなくなってきます。
毛髪自体の状態も、薄毛の部分は細くやわらかい毛や短い毛が多くなってきます。これは、ヘアサイクルの成長期が短くなっているために、毛髪の生育が悪くなっているからです。側頭部や後頭部に比べ、ふわふわと心もとない感じの、細くやわらかい毛や短い毛が多くなってきたら、薄毛が進行している可能性が高いといえるでしょう。
頭頂部がハゲる原因-こんな人はハゲやすい!
頭頂部はAGAで薄毛が進みやすいのに加え、ストレスなどによる血行不良も影響しやすいとされています。
頭頂部は男性ホルモンの影響を受けやすい
AGAは、Androgenetic Alopecia(男性ホルモン型 脱毛症)の略であることからもわかるとおり、男性ホルモンが強く関わる脱毛症です。
男性ホルモンのテストステロンが、「Ⅱ型5αリダクターゼ」という酵素と結びつき、「DHT(ジヒドロテストステロン)」 というホルモンに変化したのち、毛母細胞内にある受容体と結びつくことで、毛髪の発育を抑制する遺伝子にスイッチが入ってしまうのです。
AGAの特徴は、頭頂部や前頭部の薄毛が顕著になり、広がっていくことです。その理由は、この薄毛のスイッチを入れてしまう酵素「Ⅱ型5αリダクターゼ」が、頭頂部や前頭部に集中的に存在しているからです。
そのため、側頭部や後頭部に比べ、頭頂部は薄毛が進行しやすいのです。てっぺんが薄くなっていても脇や後ろには髪の毛がしっかり残っている人が多いのもこのためです。
ヘアサイクルが乱れ、成長しきる前に抜けてしまう
毛髪の発育を抑制する遺伝子にスイッチが入ると、「TGF-β1」という発毛抑制因子がつくられ、毛髪をつくる毛母細胞の細胞分裂が抑制されてしまいます。その結果、ヘアサイクルに乱れが生じます。
ヘアサイクルは成長期→退行期→休止期から成り、このうち3〜5年程度の成長期が、毛髪の伸びる時期にあたります。成長期を終えた髪の毛は2週間ほどの退行期で抜け落ち、その後4ヵ月程度の休止期を経て、再び成長期に入ります。
ところが毛母細胞の細胞分裂が抑制されてしまえば、髪は伸びませんので成長期が短くなってしまいます。成長期が短ければ十分に成長せず、細く短い状態のまま抜け落ちてしまうというわけです。
悪い生活習慣やストレスも抜け毛を促進
薄毛の要因はAGAだけでなく、夜更かしや喫煙、体の冷やしすぎといった悪い生活習慣やストレスが薄毛を進めてしまうこともあります。
特に頭頂部やつむじはこれらの影響を受けやすいと考えられています。というのも、頭頂部はもともと血管の数が少なく、血流が悪くなりやすい部位。そのため、血管を収縮させてしまうタバコや冷え、睡眠不足などの影響が出やすいといえるのです。
過剰なストレスも同様で、自律神経のうち興奮や緊張をつかさどる交感神経が活発になりやはり血管を収縮させるよう働きます。
これらは薄毛を起こす直接的な原因であるとは証明されていませんが、いずれも血行不良になる要因であることはわかっています。これにより、理論的には、頭皮や毛包へ栄養を届ける血液が行き渡りにくくなるので、発毛や育毛にとってよくないということがいえるのです。
頭頂部の薄毛の対策は? 治療と予防
放置しているとどんどん広がってしまう頭頂部の薄毛。抜け毛を予防し発毛を促進する治療法には、飲み薬などの薬物やメソセラピーと呼ばれる注射があります。
AGAは進行性の症状
AGAの大きな特徴は急激な進行はしないものの、確実に進行する脱毛症であるということです。何もせずにいると時間の経過とともに抜け毛が増えていき薄毛の範囲が広がっていきます。
今はそれほどでもない、という人でも将来的にハゲあがってゆく可能性は十分にありえます。何らかの治療を施さない限り、薄毛の進行を食い止めることはできないとされ、AGAが手遅れになる前に早い段階での治療開始が望まれます。
薬物療法で抜け毛を減らし毛髪の成長を促す
頭頂部は血管の数が少なく、血流が悪くなりやすい部分です。
頭頂部のAGA治療は、血行を促進し発毛効果を促す薬と、抜け毛を防ぐ薬による薬物療法が柱となります。前者にはミノキシジル、後者にはフィナステリド、デュタスデリドがあり症状や重症度に応じて医師が量や組み合わせを決め、処方します。
また、発毛に重要な栄養を届けるため、亜鉛やL-リジン、L-アルギニンなどの成分が含まれた栄養剤の処方も効果的です。
頭部に有効成分が浸透しやすくなるよう、シャンプーなどのヘアケアで頭皮を清潔に保つようにしましょう。また、冷えを予防し余分なストレスをためないことも大切です。
進んでしまった薄毛にはメソセラピー(注射療法)も選択肢に
メソセラピー(注射療法)とは、これは発毛促進作用のあるミノキシジルに、毛髪の成長因子を加えた薬剤を頭皮下の組織に注入し、毛髪をつくる毛母細胞のもとになる幹細胞の活性化を促すことで、毛母細胞の細胞増殖(発毛)を導く治療です。
頭皮が見えるほど頭頂部の薄毛が進んでしまった場合や、内服薬や外用薬で思うような発毛効果が出ない場合、強力に発毛を促進したい場合などに、検討されることが多い治療法です。内服薬や外用薬と組み合わせて行うことでも高い発毛効果が期待できます。
まとめ
頭頂部は自分では目につきにくい部分のため、薄毛がかなり進行してから気づく場合が多いといえます。頭頂部はAGAの影響を強く受け、さらに血流も悪くなりやすいため進行しやすいのも特徴です。
頭頂部からハゲている場合の治療においては、抜け毛を抑え、発毛を促す薬物療法を柱とし、進んでしまった薄毛にはメソセラピーも検討されます。日常生活では冷えや睡眠不足、過剰なストレスをなくすことが大切です。
頭頂部の薄毛が気になってきても諦める必要はありません。ぜひベアAGAクリニックまでご相談ください。

執筆者:清水崇裕(ベアAGAクリニック院長、医師、医学博士)
薄毛治療実績1万人以上。薄毛治療以外の医学知識も豊富で、安全に配慮した治療を心がけています。美肌、シミ、シワ等も含めトータルなエイジングケアをサポート致します。最近髪が細くなってきた、頭頂部が気になる、髪が⽔に濡れてボリュームが減るのが恐い、など薄⽑に対するどんなお悩みでもお気軽にご相談ください。患者様の期待に応え、当院で治療を受けてよかったと⾔っていただけるようなクリニックを⽬指して参ります。
資格:医師・医学博士・放射線科専⾨医・⽇本医師会認定産業医・⽇本抗加齢医学会会員・⽇本医学放射線学会会員
薄毛にお悩みの方は必ずお力になります。ベアAGAクリニックにご相談ください。
ベアAGAクリニック院長 清水崇裕