女性の抜け毛を引き起こす原因はさまざまですが頭皮のべたつきやかゆみ、大量のフケをともなう場合には脂漏性皮膚炎を発症している可能性が疑われます。
脂漏性皮膚炎は炎症性の皮膚疾患ですが放置すると女性でも抜け毛の量の増加につながる恐れもあるため注意が必要です。
本記事では脂漏性皮膚炎の原因や症状、発症しやすい人の特徴や対策法について解説します。
頭皮のべたつきやかゆみにともないベタベタとしたフケや抜け毛の量が増えている方は参考にしてください。
※本記事は日本皮膚科学会ガイドライン「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」を参考に作成しています。
目次
脂漏性皮膚炎の特徴|原因や治し方を解説

脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は脂漏性湿疹とも呼ばれる炎症性の皮膚疾患の一種です。脂漏性皮膚炎は頭皮や髪の毛の生え際、耳の裏、鼻の脇、胸、脇の下など皮脂腺が発達している箇所(脂漏部位)に多く見られることが特徴です。
脂漏性皮膚炎を発症すると患部に赤みや黄色味を帯びたベタベタしたフケ、またはカサカサとしたうろこ状の皮むけなどが見られます。
脂漏性皮膚炎の初期の段階では症状が軽微であることが多く、発症に気づくことが遅れる場合もあるため注意が必要です。
頭皮の赤みにともないベタベタとしたフケや、うろこのようなカサカサとした皮むけが見られる場合にはできるだけ早めに皮膚科を受診しましょう。
脂漏性皮膚炎の原因
脂漏性皮膚炎の直接的な原因は頭皮にいる常在菌のマラセチアの異常な繁殖です。真菌の一種であるマラセチアが異常に繁殖して皮脂に含まれるトリグリセリドを遊離脂肪酸へと分解すると、皮膚の炎症を引き起こすことがわかっています。
マラセチアが異常に繁殖する原因については現在に至るまで明らかにされていません。しかし、ストレスや寝不足、ホルモンバランスの乱れ、偏った栄養バランスの食事、誤ったスキンケアなどがマラセチアの異常な繁殖につながると考えられています。
脂漏性皮膚炎の診断・治療方法
脂漏性皮膚炎の診断には特別な検査を行う必要はなく問診および視診が重要です。しかし、単なるフケ症(頭部粃糠疹)など、ほかの皮膚疾患との鑑別が求められます。
脂漏性皮膚炎の治療はステロイド外用剤を患部に塗布し炎症を鎮める方法が一般的です。顔や身体には軟膏を用いますが頭皮にはローションタイプが選択されます。
近年ではマラセチアの繁殖を抑えたり、活発なはたらきを妨げる目的で抗真菌薬が用いられることもあります。ステロイド外用剤に比べると効果が現れるまでに時間を要しますが副作用のリスクは低いです。
また、過剰な皮脂の分泌を抑制するためにビタミンB2やビタミンB6の内服薬が処方されることもあります。症状や治療方法については専門医へご相談ください。
女性でも脂漏性皮膚炎が進行すると抜け毛をともなう脂漏性脱毛症になり得る

脂漏性皮膚炎の症状が進行した場合には女性でも抜け毛をともなう脂漏性脱毛症を発症する可能性もあるため注意が必要です。
脂漏性皮膚炎と同様に皮脂の過剰な分泌により頭皮がべたつく病気で、皮膚の炎症やニキビ、湿疹などを発症するのが特徴です。
特に思春期や夏の時期には皮脂の分泌量が増加するため症状が悪化しやすい傾向にあります。
フケの量が増えるため粃糠性(ひこうせい)脱毛症と混同されることもありますが、脂漏性脱毛症の場合は白くてカサカサとした細かいフケではなく、黄色っぽくてベタベタとした大きいフケが見られます
脂漏性皮膚炎にともなう抜け毛(脱毛症)の発症サイン

脂漏性脱毛症にともなう抜け毛(脱毛症)の発症サインは以下の3つです。
- 頭皮がかゆくなる
- フケが増える
- 髪の毛が細くなる
脂漏性皮膚炎にともなう抜け毛(脱毛症)の発症サインについて解説します。
頭皮がかゆくなる
脂漏性皮膚炎にともなう抜け毛(脱毛症)の発症サインの1つは頭皮がかゆくなることです。脂漏性皮膚炎はその他の炎症性の皮膚疾患とは異なり、初期段階ではかゆみがなかったり軽微である点が特徴です。
しかし、脂漏性皮膚炎が進行して頭皮環境が悪化するとかゆみが強くなる傾向にあります。毎日シャンプーしているにもかかわらず頭皮のべたつきやかゆみが治まらない場合には、脂漏性脱毛症を発症している可能性があります。
フケが増える
フケの量が増えることも脂漏性皮膚炎にともなう抜け毛(脱毛症)の発症サインの1つです。乾燥肌の方とは異なり黄色っぽくてベタベタとした粒の大きなフケが見られる場合には脂漏性脱毛症を発症している可能性があります。
しかし、脂漏性皮膚炎ではカサカサとした皮むけが見られることもあるため自分の判断ではなく専門医の診察を受けることが重要です。
髪の毛が細くなる
髪の毛が細くなることも脂漏性皮膚炎にともなう抜け毛(脱毛症)の発症サインの1つです。脂漏性皮膚炎の発症にともない頭皮環境が悪化するとヘアサイクルが乱れ髪の毛の成長に悪影響をおよぼします。
髪の毛が細くなるだけで脂漏性脱毛症と判断することは困難ですが、頭皮のかゆみやべたつきにともないベタベタとしたフケの量が増えて抜け毛も見られる場合には脂漏性皮膚炎の発症が疑われます。
脂漏性皮膚炎を発症しているならまず皮膚科を受診しましょう

脂漏性皮膚炎の発症が疑われる場合には皮膚科を受診することが重要です。
いったん脂漏性皮膚炎を発症すると慢性的な経過をたどることも多く自然治癒が期待できないため、可能な限り早急に皮膚科の専門医の診察を受けて適切な治療を受けましょう。症状や治療方法については専門医へご相談ください。
女性で脂漏性皮膚炎にともなう抜け毛(脱毛症)が発症しやすい人の特徴

以下の4つの項目に該当する女性は脂漏性皮膚炎にともなう抜け毛(脱毛症)を発症しやすいと考えられます。
- 過度に洗髪・シャンプーを行う
- 不規則な生活習慣を送っている
- 疲れやストレスを溜め込んでいる
- 女性ホルモンバランスの乱れ
脂漏性皮膚炎にともなう抜け毛(脱毛症)を発症しやすい女性の4つの特徴について解説します。
過度に洗髪・シャンプーを行う
普段から過度に洗髪・シャンプーを行う女性は脂漏性皮膚炎にともなう抜け毛(脱毛症)を発症しやすいです。
過度に洗髪・シャンプーを行うと皮膚を守るべき皮脂まで根こそぎ洗い流して頭皮が乾燥しやすくなります。
頭皮が乾燥すると皮膚を守るためにかえって皮脂の分泌量が過剰になり、結果的に脂漏性皮膚炎にともなう抜け毛(脱毛症)を引き起こすリスクが増加します。
また、洗浄力の強すぎるシャンプーや肌質に合わないヘアケアを使うと頭皮環境の悪化にともない抜け毛を引き起こしやすくなるため注意が必要です。
毎日洗髪しているのに頭皮の赤みやかゆみが残る場合はシャンプーが肌質に合っていない可能性もあります。
不規則な生活習慣を送っている
不規則な生活を送る女性は脂漏性皮膚炎にともなう抜け毛(脱毛症)を発症しやすいです。
慢性的な睡眠不足が続くと夜間の細胞分裂が活発に行われなくなるため髪の毛の成長に悪影響を及ぼします。
また、過度なダイエットや偏食により栄養不足に陥ると髪の毛を成長させるエネルギーが不足して結果的に抜け毛を引き起こすリスクが増加します。
関連記事:【女性に聞く】薄毛が改善した食べ物7選|髪の毛を増やすためには何を食べるべき?
疲れやストレスを溜め込んでいる
疲れやストレスを溜め込む女性は脂漏性皮膚炎にともなう抜け毛(脱毛症)を発症しやすいです。
疲れやストレスを溜め込むと自律神経のバランスが乱れて血行不良による頭皮環境の悪化を引き起こしやすくなります。
また、疲れやストレスによりホルモンのバランスが乱れると皮脂の分泌が過剰となるため、脂漏性皮膚炎の発症リスクが増加します。
日頃の仕事やプライベートだけでなく新生活や妊娠など急に生活習慣が変わることでもストレスは発生するため注意が必要です。
女性ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスが乱れている女性は脂漏性皮膚炎にともなう抜け毛(脱毛症)を発症しやすいです。
生理期間や更年期などで女性ホルモンバランスが乱れると相対的に体内の男性ホルモンの量が増加するため、皮脂の分泌量が過剰になり脂漏性皮膚炎を発症しやすくなります。
不規則な生活習慣やストレスが原因でホルモンバランスが乱れることもあるため合わせて注意が必要です。
関連記事:女性ホルモンと髪の毛の関係性を紹介|女性ホルモンを増やすことで毛髪量が回復するか解説
脂漏性皮膚炎にともなう女性の抜け毛(脱毛症)の治し方

脂漏性皮膚炎にともなう女性の抜け毛(脱毛症)は4つの方法で改善が期待できます。
- 日常のシャンプー・ヘアケアのやり方を見直す
- リラックスする時間を確保してストレス緩和を目指す
- 十分な睡眠や栄養バランスの良い食事を心がける
- 頭皮に負担のかからない髪型・ヘアアレンジをする
脂漏性皮膚炎にともなう女性の抜け毛(脱毛症)を治す4つの方法について解説します。
日常のシャンプー・ヘアケアのやり方を見直す
脂漏性皮膚炎にともなう女性の抜け毛(脱毛症)を治すためには、日常のシャンプー・ヘアケアのやり方を見直すことが重要です。
頭皮のかゆみやべたつきが気になるからと1日に何度も洗髪したり、皮膚を強い力で擦ることはNGです。
洗髪の際は指の腹で頭皮を動かすイメージで優しくマッサージして38℃程度のぬるま湯でしっかりと洗い流しましょう。
洗髪後もかゆみが残る場合は肌への刺激が少ないアミノ酸系の薬用シャンプーや育毛シャンプーに切り替える方法もあります。
リラックスする時間を確保してストレス緩和を目指す
リラックスする時間を確保してストレスを緩和することも、脂漏性皮膚炎にともなう女性の抜け毛を改善するためには欠かせません。
ストレスを緩和する簡単なリラックス法の1つが湯船に浸かり身体を温めることです。身体を温めると血行が促進されるため頭皮環境の改善やターンオーバーの正常化が期待できます。
また、入浴によるリラクゼーション効果により睡眠の質が良好になり髪の毛の成長をサポートする結果につながります。
十分な睡眠や栄養バランスの良い食事を心がける
脂漏性皮膚炎にともなう女性の抜け毛を改善するためには十分な睡眠時間の確保が必要です。
適切な睡眠時間は人によりさまざまですが、一般的には1日あたり6時間~7時間の睡眠が目安と考えられています。
また、髪の毛の成長を促進し頭皮環境を整えるためには栄養バランスのよい食事を心がけることも重要です。
脂漏性皮膚炎を改善・予防するためには、皮脂の分泌を抑制する作用があるビタミンB2を積極的に摂取しましょう。ビタミンB2を多く含む食品はレバーやハツ、納豆、イワシ、ウナギ、牛乳などです。
頭皮に負担のかからない髪型・ヘアアレンジをする
頭皮の負担にならないような髪型やヘアアレンジも脂漏性皮膚炎にともなう女性の抜け毛の改善につながります。
いつも同じ場所に分け目を作っていたりポニーテールなど頭皮に負担がかかる髪型を続けていると、牽引力による血行不良で頭皮環境の悪化を招きます。
髪を結ぶ習慣がある方はダウンスタイルにして分け目を変えるなど工夫しましょう。
脂漏性皮膚炎が改善しても毛量が回復しない女性は原因が別にあることが多い

治療により脂漏性皮膚炎の症状が改善しても髪の毛の量が回復しない場合には、ほかの原因で抜け毛を引き起こしている恐れがあります。
抜け毛が脂漏性皮膚炎の発症と関係ない場合には、脱毛症やほかの抜け毛の要因がたまたま重なっただけかもしれません。
女性で脂漏性皮膚炎が改善しても薄毛が治らないときに考えられる脱毛症

脂漏性皮膚炎が改善したにもかかわらず薄毛が治らない場合には、以下の脱毛症を発症している可能性があります。
- FAGA(女性型脱毛)
- びまん性脱毛症
- 壮年性脱毛症
- 牽引性脱毛症
脂漏性皮膚炎以外の女性の抜け毛を引き起こす脱毛症について解説します。
FAGA(女性型脱毛)
脂漏性皮膚炎が改善しても薄毛が治らない場合はFAGA(女性型脱毛)を発症している可能性があります。FAGAは英語の「Female Androgenetic Alopecia」の略で男性ホルモンに起因する女性の脱毛症です。
更年期などで女性ホルモンの分泌量が減少すると体内の男性ホルモンの割合が高くなり、抜け毛リスクを増加させることがわかっています。
しかし、女性の脱毛症はホルモンバランスの変化だけでは説明できないことも多いため、近年では世界的にFPHL(Female Pattern Hair Loss)と呼ばれる傾向にあります。
関連記事:女性の薄毛(FPHL、FAGA)はなぜ起こる? 問題点・原因・特徴・効果的治療法を解説
びまん性脱毛症
びまん性脱毛症も脂漏性皮膚炎が改善しても薄毛が治らないときに疑われる疾患の1つです。男性の脱毛症は頭頂部(O字ハゲ)や前頭部(M字ハゲ)に多く見られますが、びまん性脱毛症の場合は髪の毛全体のボリュームが減少する傾向にあります。
局所のまとまった抜け毛が見られず気が付いたら症状が進行していた例も多いため注意しましょう。びまん性脱毛症の原因もホルモンバランスの変化やストレス、誤ったヘアケアなどさまざまあります。
壮年性脱毛症
壮年性脱毛症は育児をしている女性やキャリアウーマンなどに多く見られる脱毛症の一種です。厚生労働省では壮年期を25歳~44歳と定めており若い女性でも壮年性脱毛症を発症する可能性があります。
参照元:生活指導及びメンタルヘルスケア
壮年性脱毛症もFAGA(女性型脱毛症)の一種であり発症原因や症状などに大きな違いはありません。発症直後は分け目部分が目立つ程度ですが、進行するにつれて頭頂部を中心に髪の毛のボリュームが減少し、やがて広い範囲で頭皮が透けて見えはじめます。
牽引性脱毛症
脂漏性皮膚炎が改善しても薄毛が治らない場合は牽引性脱毛症の発症も疑われます。牽引性脱毛症は髪の毛の長い女性に多く見られる薄毛の一種で、頭皮への牽引力にともなう血行不良が抜け毛の主な原因です。
ポニーテールや三つ編み、お団子などの髪型を続けていると牽引性脱毛症の発症リスクが増加します。また、いつも同じ場所で髪の毛を分けると分け目から薄毛が進行する例もあるため注意が必要です。
脂漏性皮膚炎以外が原因の抜け毛(脱毛症)を改善するならAGA治療専門のクリニックへ相談

脂漏性皮膚炎以外が原因の抜け毛(脱毛症)を改善するならAGA治療専門のクリニックへの相談がおすすめです。
女性の抜け毛はホルモンバランスの変化だけでなくストレスや睡眠不足、誤ったヘアケアなど多岐に渡るため専門医の診察を受ける必要があります。
ベアAGAクリニックでは男性だけでなく女性の抜け毛や薄毛のお悩みにも応えており、最初のカウンセリングから治療の終了まで5万件以上の治療実績がある院長自らが応対します。
脂漏性皮膚炎にともなう女性の抜け毛(脱毛症)に関してよくある質問

脂漏性皮膚炎にともなう女性の抜け毛(脱毛症)に関しては以下の質問が多く寄せられています。
- 脂漏性皮膚炎による抜け毛はどれくらいの期間で治りますか?
- 脂漏性脱毛症を発症しても正常に髪の毛が生える可能性はありますか?
脂漏性皮膚炎にともなう女性の抜け毛(脱毛症)に関する2つの質問に答えます。
脂漏性皮膚炎による抜け毛はどれくらいの期間で治りますか?
脂漏性皮膚炎の症状は適切な治療により1週間~2週間で改善に向かうとされていますが、いったん発症すると慢性的な経過をたどることも多い皮膚疾患です。
特に抜け毛をともなうほど症状が進行している場合にはかゆみや赤みが治まっても、髪の毛の量が回復するまでには時間がかかります。
脂漏性皮膚炎の発症が疑われる場合はなるべく早めに専門医の診察および治療を受け、症状が改善してからもビタミンB群の摂取を欠かさないなど予防に努めることが重要です。症状や治療方法については専門医へご相談ください。
脂漏性脱毛症を発症しても正常に髪の毛が生える可能性はありますか?
脂漏性脱毛症を発症しても髪の毛が元通りに生えてくる可能性はあります。遺伝が主な原因のAGA(男性型脱毛症)とは異なり脂漏性脱毛症は日常の生活習慣により発症リスクが増加します。
ただし、先ほど紹介した方法で抜け毛や薄毛の改善が見られない場合には専門医に相談しましょう。早めに治療を開始すると症状の早期改善が期待できます。症状や治療方法については専門医へご相談ください。
脂漏性皮膚炎にともなう抜け毛でお困りの方はベアAGAクリニックへご相談ください

脂漏性皮膚炎にともなう抜け毛でお困りの方はベアAGAクリニックへご相談ください。ベアAGAクリニックの院長は5万件以上の治療実績があるため経験をもとに一人ひとりに最適な治療法を提案します。
皮膚科の治療とは異なりFAGA(女性型脱毛症)に特化した治療を受けられるだけでなく、最初のカウンセリングから治療の終了まで経験豊富な院長自らが専任で応対します。
LINEでの無料相談も行なっているため、脂漏性皮膚炎にともなう抜け毛でお困りの方や、を早く改善したい方はお気軽にお問い合わせください。